Web×IoT メイカーズチャレンジ 2020-21

ハンズオン講習会

2021 年 1 月 9 日 (土) - 10 日 (日) にかけ、Web×IoT メイカーズチャレンジ 2020-21 in 鳥取のハンズオン講習会が開催された。今年度は、コロナ禍での開催ということで鳥取市 (鳥取大学広報センター) と米子市 (米子高専図書館情報センター) の 2 会場に分散し、参加人数を制限しての開催となった。受講者数は 17 名で、高校生、高専生、大学生、社会人と多様な年代層からの参加があった。

本講習会は、2 月に開催するハッカソンに向けた作品制作の前提となる IoT 開発のスキル習得を目的としている。ハッカソンにおいて必要な基礎知識を学ぶ座学講習や実践に機器を動かして学ぶハンズオン講習の他に、鳥取県の課題について触れるアイデアワークショップやアイデアソン、ハッカソンのチームごとでの今後の話し合いを行った。

講習会初日の冒頭は、鳥取県商工労働部産業振興課長の村上敦志氏、Web×IoT メイカーズチャレンジ鳥取運営委員会主査 (一社 WebDINO Japan 代表理事) の瀧田佐登子氏による挨拶から始まり、座学講習に移った。

座学講習の講師は鳥取大学 学術研究院工学系部門 准教授の三浦政司氏が、講習中に使用されたビデオ教材講師は、信州大学工学部教授の不破泰氏がそれぞれ担当された。Wi-Fi や LTE 等の IoT に欠かせない通信技術、電波の特性、電波法を中心とした法制度、基礎知識等について、ビデオ教材の特色を活かした分かりやすい説明がされた。

続けて、初日の午後から 2 日目の午前中にかけてハンズオン講習が行われた。ハンズオン講習の講師は百エデュケーションより、今出和史氏が担当された。本講習では受講者一人ひとりに実習用の機材が配布され、CHIRIMEN for Raspberry Pi を教材とし、実際にコーディングを行い様々なセンサーから値を取得しアクチュエータを制御した。

CHIRIMEN for Raspberry Pi は、"ラズパイ"として知られる名刺サイズの小型コンピューター Raspberry Pi 上に構築された IoT プログラミング環境である。CHIRIMEN Open Hardware コミュニティがオープンソースのプロジェクトとして開発しているもので、誰でも自由に利用することができる。

CHIRIMEN for Raspberry Pi の大きな特徴として、Web 技術 (JavaScript、HTML) を用いてセンサーやアクチュエーターが制御できることが挙げられる。そのため、本講習ではパソコンは不要で、Raspberry Pi にディスプレイやキーボードを接続するだけで実習環境を整えられる。チュートリアルドキュメントやサンプルコードも充実しており、プログラミングや電子工作に初めて触れる受講者も苦戦しつつも楽しんで講習に取り組んでいた。また、今回はコロナ禍であることを考慮し、一部のチューター及びメンターが遠隔地からオンラインで参加者の講習をサポートした。

2 日目の午後からアイデアワークショップを行った。アイデアワークショップでは、「鳥取をもっと楽しくする IoT」をテーマにアイデアを膨らませ、ここから得られたアイデアを基に楽しくて使いたくなるような IoT デバイスや、地域や生活の課題を解決する IoT デバイスについて各チームで検討を行った。ワークショップでは付箋を使ったアイデア出しやアイデアスケッチなどを行い各々の意見を発表しやすいように様々な工夫がなされた。

その後チームごとに今後の計画を立てた。どのような作品を作るのかの検討、チームでものづくりをする際の役割分担などについて話し合った。またハッカソンに向け遠隔地でも協力できるように、オンラインでの議論や作業を続けられるようチームで環境を整えた。

ハッカソン

2021 年 2 月 13 日 (土)、14 日 (日) の 2 日間にかけてオンライン上でハッカソンが開催された。新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、ハッカソンの前週、急遽、オンライン形式でのハッカソンに変更することになった。ハンズオン講習会で実践を交えて学んだ知識をもとに、事前に各チームで話し合いを行い、16 名、全 4 チームがアイデアを形にするべく作品制作に挑戦した。最優秀賞には、コロナ禍の地元の祭の中止をヒントに、Web 上の“祭”を再現した「Taっ Maya~」を制作したチーム D が選ばれた。

ハッカソン初日のキックオフでは、参加者を始め主催者やチューター、メンター全員が Zoom に集合し、主催者挨拶として瀧田佐登子氏より参加者に激励の言葉が贈られ、2 日間のものづくりのスタートを切った。チームでのものづくりは初めてというメンバーが多く、オンライン上でのものづくりという本イベントでは初めての取り組みでもあったが、Zoom や Slack を始めとしたツールを有効活用しコミュニケーションを取りながら各チームでものづくりに挑んだ。

本ハッカソンにおいては、WebDINO Japan CTO の浅井智也氏、鳥取大学三浦准教授をはじめとしたメンター陣が各チームの作品づくりをソフトウェア面とハードウェア面の両面からオンライン上でサポートした。ものづくりに取り組む中で衝突する様々な問題について、各チームがメンターからアドバイスを受けながら解決に向け取り組んでいた。参加者同士での密集も避けるために各チームのものづくり自体もオンラインによる遠隔での作業であったため、例年には無い難しさもあったようだ。

本ハッカソンではメンター以外にも支援体制が整えられている。各チームが考えたアイデアのプロトタイピングを制作するためにはハードウェアの工作が必要となり、コストがかかる。運営側が用意した材料だけでなく自分たちで選定した材料の使用も可能で、その際必要となった材料費を一定額まで補助する仕組みがある。

2 日目の午後より、各チームの成果発表および作品の審査が行われた。審査員はコニカミノルタ株式会社 IoT サービス PF 開発統括部戦略推進部グループリーダー / WIMC 実行委員会構成員の五寳匡郎氏、セイコーエプソン株式会社 VSM プロジェクト部長の津田敦也氏、なかにし特許事務所弁理士 / 一般社団法人鳥取県発明協会理事の中西康裕氏の 3 名が担当された。

各チーム作品のアイデアの独創性、ユースケースの有用性、および無線の活用度などの観点から、デモンストレーションを交え実際の作品を見ながら審査を行った。今回は、急なオンライン開催への変更ということもあり、発表の際には「状況や条件変更への対応力」や「チームワーク」といった点もアピールしてもらった上で、審査の際の評価項目として追加した。

終わりの挨拶は、後援の総務省 中国総合通信局 情報通信部長の竹下氏、鳥取県 商工労働部 産業振興課長の村上敦志氏、Web×IoT メイカーズチャレンジ鳥取運営委員会主査 (一社 WebDINO Japan 代表理事) の瀧田佐登氏よりお話があり、本ハッカソンが継続して行われ、地域における技術者の育成へ貢献することへの期待、参加者の今後のより一層の活躍を望むことなどが伝えられた。

最優秀賞受賞チーム「Taっ Maya~」

参加チームおよび作品概要

Team A 鳥取チーム a

作品名:スマート窓

コロナ対策として天気情報や人数、CO₂ 濃度などを参考に窓を適切に自動で開け閉めして換気をする機能と、その窓から差し込む太陽光の照度と天気に対応してブラインドが上げ下げする機能を持った IoT デバイス。コロナ予防のため室内の換気を十分にするように呼びかけられているが、オフィスで換気をついつい忘れがちであったり、寒いので他の人に換気をしづらかったりする。これを解消するために自動で窓を開けて換気をする IoT を開発した。さらに、照度や天気によってブラインドが自動で上下する仕組みを追加して、オフィスにおける窓周りの自動化を図った。

Team B スタジオ ベッド

作品名:IoT ベッド

コロナ禍の中で、家にいることが多く運動不足になったり、学校が休みになったりで、規則的な生活を送るための補助をすることを目的とした IoT デバイス。ベットに IoT を導入にして、主に 3 つの機能を付けた。1 つ目は睡眠を促す機能。自動で設定した時間の 7 時間前に電気毛布が起動し布団を温め、睡眠を促す癒しの音楽を流す。2 つ目は起こす機能。加速度センサーで睡眠の状態を計測し、睡眠が浅いタイミングで音楽を流す。3 つ目は、運動をさせる機能。起こす時に流す音楽を、ラジオ体操の音楽にして、運動を促す。

Team C Count Master yokoyama

作品名:Count Master

コロナウイルスの影響による人数制限等への対策として、行きたい場所の現在の人数状況が見られる IoT システム。この作品の主な機能は人数をカウントしたい場所の出入り口にレーザー距離センサーを取り付けそのセンサーが入手した情報を Raspberry Pi に送り、そこから Web 上に情報を送り専用のホームページで人数を知ることができるといったものである。コロナウイルスの影響で人の出入りに対する制限が厳しくなり、行きたい場所に行っても人数制限により入れなっかたり、人が多くて自主的に入るのを避けたりするケースが増えた。なので、行きたい場所の人数がわかる作品には需要があるだろうと考え制作に至った。

Team D Maっりーs

作品名:Taっ Maya~ 【最優秀賞受賞作品】

「鳥取県をもっと盛り上げるためにどうするか」ということを考え、コロナ禍の地元の祭の中止をヒントに、Web 上の“祭”を再現した。鳥取市のしゃんしゃん祭りとがいな祭りをイメージしている。モーターを用いて傘を回したり、ネオピクセルによる花火のようなものを作ったり、万灯を作ったり等の祭りの様子を Web で操作ができるようにした。Web で操作できるようにすることで参加型という要素を付加し、ただ見るだけによる飽きを防止した。ハッカソンのオンライン開催への変更で、各自が自宅で花火を光らせるという発想転換を行い、自宅で祭の楽しみを共有する作品になった。

Web×IoT メイカーズチャレンジ 2020-21 in 鳥取 開催概要

日程/会場 ハンズオン講習会
会場:オンライン
ハッカソン
会場:オンライン
主催 Web×IoT メイカーズチャレンジ 鳥取運営委員会
共催 Web×IoT メイカーズチャレンジ 実行委員会
特別協力 鳥取大学工学部ものづくり教育実践センター
協力 鳥取県、 国立大学法人 鳥取大学、公立鳥取環境大学、米子工業高等専門学校、青翔開智中学校・高等学校、鳥取城北高等学校、一般社団法人 WebDINO Japan、百エデュケーション、KDDI 株式会社、中国地域 ICT 産学官連携フォーラム、CHIRIMEN Open Hardware
協賛 中国情報通信懇談会
後援 総務省中国総合通信局スマート IoT 推進フォーラムとっとり IoT 推進ラボ
運営事務局 鳥取県商工労働部産業振興課一般社団法人 WebDINO Japan

告知チラシ (PDF)

申し込み

詳細はこちら (Connpass サイトへ移動します)