Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 仙台 開催報告
学生や若手エンジニアを対象とした IoT システム開発のスキルアップイベント「Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 仙台」が 2019 年 11 月 - 12 月に宮城県仙台市で開催された。JavaScript や HTML といった Web 技術を使ったセンサーやモーターの制御、ディープラーニングを 2 日間のハンズオン形式の講習会で実践的に学び、その後、2 週間の準備期間を経て、実際に IoT デバイスの作品づくりに挑戦する「ハッカソン」が行われ、5 チームが作品制作に励み最優秀賞を競い合った。
ハンズオン講習会
ハンズオン講習会は 11 月 30 日、12 月 1 日の 2 日間で開催。これまで 1 日で開催されていたものを 2 日間で実施した。座学講習では、昨年に続き 市川電産 市川 博之 氏を講師として、テキストに沿った講義が行われた。電波や IoT、およびその活用について基礎的な内容を網羅的に扱うとともに、具体的な実例を挙げながら具体的かつ体系的に解説し、参加者からも「ただ知識を詰め込むのではなく、実例を挙げながらの説明が分かりやすかった」「具体的な実例などの種類のデータがどの場面で使用されているのかが興味深い」などの好評を得た。また、内容についても普段学ぶ機会がないものだったという感想もあり、他にはない貴重な学習機会となったようだ。
ハンズオンでは、3 年連続で GClue 佐々木 陽 氏が講師として登壇。今年は CHIRIMEN for Raspberry Pi と FaBo を扱ったほか、ディープラーニング についても、Google の Teachable Machine を用いた平易な活用が可能であることを示し、プログラミングに挑戦する内容とした。参加者からは、「ディープラーニングのハードルが一気に下がった」「使いやすいモジュール群で素早く実装ができた」といった感想が寄せられ、IoT、Web、ディープラーニングの組み合わせでも思った以上に手軽に実装ができることに対し、驚きの声があがった。
ハンズオン講習会の後、アイデアソンを行い、「世の中のあらゆる面倒から人々を解放する、使って楽しいプロダクト」をお題に、新しい体験から価値を生み出すプロダクトのアイデアを参加者全員で出しあった。アイデアソンで出たアイデアからチームごとに作る作品の概要を決め、事前の準備についてもチームで話し合って必要な調達物やスキルについても確認を行った。
ハッカソン
ハッカソンは、ハンズオン講習会の 2 週間後にあたる 12 月 14 - 15 日の 2 日間で開催。 5 つのチームに分かれ、アイデアの実装に取り掛かった。各チームとも Web と IoT の技術のほかにディープラーニングを取り込んだプロダクト開発に挑んだ。これまでの開催で多くみられたセンサーによる情報取得のほかに、ディープラーニングの導入により、デバイスの操作に画像認識を用いるなどバリエーションも豊かになった。今回は、ハードの筐体の制作をスムーズにするために、筐体制作用のブロックや段ボール等の素材を準備したため、造形やデザインの時間が大幅に短縮された。
2 日間に渡る開発ののち、審査員を交えた成果発表を行った。成果発表では、各チームが自分たちの作品を簡単に紹介する 90 秒のピッチを実施。全チームのピッチが終わった後、審査員がチームのテーブルを順番に周り、デモの実施および質疑応答を行った。
最優秀賞の発表および表彰を行ったのち、会場内で懇親会を実施。参加者は他チームのメンバーや審査員らとの交流や情報交換を楽しんだ。
参加チームおよび作品概要
Team A マジンこ TV
作品名:line スマートロック
スマートフォンさえ所持していれば、玄関に近づくだけでモーターが作動して鍵を開けられるシステム。LINE Beacon 機能を利用しており、LINE Beacon に紐つけられた LINE BOT を友だち追加すれば準備 OK。また、加速度センサーでドアの開閉を感知し、自動で鍵が閉まる機能も搭載。さらに、誰がいつ鍵を開けたのかが指定した LINE グループに自動で報告される。共働きの家庭もコレで安心。
Team B 力率 160percent
作品名:Sleeping Checker
教室で寝ている人を検出し、室内を換気することで教室の環境を良くするシステムである。Web カメラを使って教室の画像を記録し、「Teachable Machine」で転移学習したプログラムを使って、画像から寝ている人を検出すると同じネットワーク内にあるマイコン「ESP32」を使用し、自動で窓を開け、教室の空気の入れ替えを試みる。マイコン側の機構を換装することで、電化製品のスイッチを押すことも可能だ。
Team C hogehoge
作品名:めくるん 【最優秀賞受賞作品】
料理中、手が汚れている時などに本をめくる動作をしたい時、一旦作業を止める必要があり手間がかかる。そんな時に本を自動でめくってくれたら楽だな、という思いから形にしたのだという。めくるんは、ディープラーニングの画像認識技術を用いて、本を読んでいる人の顔の動きに合わせて、ページをめくってくれる機械である。料理中だけでなく介護現場など、様々なシチュエーションで応用できる可能性を秘めている。
Team D Team X
作品名:飲酒乗務取り締まり装置
現在の飲酒乗務検査は、アルコールチェッカー等で乗務前に測定するようであるが、乗用車における飲酒運転や航空機等の飲酒乗務は後を絶たない。今回の仕組みは、臭いセンサーからアナログ値を取得し、AVR で A/D 変換、digital をさらに I2C 信号へに変換し、メイン基板の AVR にて I2C から UART に変換する。その後、Raspberry Pi で UART から取得した数値情報を Slack へ、文章とともに投稿する仕組みだ。本ソリューションで、測定結果を瞬時に全体に共有することによって飲酒乗務を防ぎ、責任を再確認させることができると考える。
Team E 宮城教育電子専門学院
作品名:short shirt or long shirt ??
本作品は、手拍子をきっかけにその日の気温を温度センサーで取得し、半袖を着るべきか、長袖を着るべきかを判断してくれる。カメラでは回転式のクローゼットを映しており、目的の服が正面にきたら回転が止まり LED で服の決定を知らせる。この機能を使うことで、わざわざその日の気温を調べたり服選びで悩んだりする手間や、外に出たときに寒すぎたり暑すぎたりと感じることもなくなる。