Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20

ハンズオン講習会

『Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019 - 20 in 徳島のハンズオン講習会』を 2019 年 11 月 9 日 - 10 日の 2 日間にかけて開催した。開催地域初の取り組みとなる県内 3 会場をリアルタイムに接続したオンライン講習である。徳島大学 情報センター (徳島会場)、神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス (神山会場)、阿南工業高等専門学校 創造テクノセンター (阿南会場) を双方向に接続し、同一会場での講習会さながらの臨場感であった。

総務省四国総合通信局 情報通信部 電気通信事業課長 松下 文宣 氏の挨拶と徳島大学 情報センター 助教 谷岡 広樹 氏のオリエンテーションからスタートし、徳島大学 大学院社会産業理工学研究部 教授 木下 和彦 氏による「IoT/電波に関する基礎知識」、スタンシステム株式会社 代表取締役社長 COO 眞鍋 厚 氏による「LPWA に関する基礎知識」に関する講習が行われた。

参加者は IoT とは?という概念を共通認識し、その上で電波・無線・ LPWA の有効活用についての知識を講習の中で習得した。午後からは 谷岡 広樹 氏が講師の元、ハンズオン講習が行われ、参加者全員が個々に貸与された CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 を使用し、開発環境のセットアップ、Java Script によるハードウェアの制御といった実践学習が行われた。進捗状況の早い参加者は様々なセンサー類を試すなど応用編にチャレンジしている姿も見られた。

2 日目は引き続きハンズオン講習の後、ハッカソンのチーム分けを行い、7 つに分かれたチームごとにアイデアワークショップを実施。参加者らは「徳島県の地域課題」をテーマとし、課題解決のために必要となる意見やアイデアを出しあって、作品のイメージを大きく膨らませていた。各チームのハッカソンに向けた発表により、制作される作品に期待が高まるアイデアワークショップとなった。

2 日間にわたって行われたハンズオン講習会は大変有意義な時間となり、約 4 週間後に実施予定のハッカソンに向けて、各チームの挑戦が幕を開けた。

ハッカソン

ハンズオン講習会から約 4 週間後、2019 年 12 月 7 日 - 8 日の 2 日間でハッカソンを開催した。徳島大学 工業会館 (徳島大学内) で行われたハッカソンは、7 チームにより出し合ってきたアイデアの集大成として、作品制作に取り組んだ。

材料費は上限税込 25,000 円の範囲内で主催者負担。準備期間中チームごとに機材選定・調達を行って、ハッカソン当日に持ち合わせた。短い制作時間の中、機器の故障といったアクシデントにも奮闘、「未来の徳島」を作品のテーマとして徳島独自の視点からにも課題や魅力を探し出し、作品制作が進められた。

参加者の補助としてハードウェアやソフトウェアなど各分野のエキスパートがメンターとして参加。各チームのメンバーにアドバイスを行い、制作に深く携わっていた。会場スタッフを含め参加者全員が改めて地元徳島に目を向け、新たな魅力発見や課題解決の方法を探る「地元イベントならでは」の貴重な経験となった。

ハッカソン 2 日目は引き続き各チーム作品制作からスタート。作品審査までの限られた時間の中でデバイスの構築や動作確認など追い込み作業を行っていた。中には時間の都合上、作品の方針を変更するなど臨機応変に対応したチームもあった。

作品審査は徳島県 政策創造部 地域創生局地域振興課長 吉田 貞伸 氏、徳島大学 情報センター 准教授 佐野 雅彦 氏、KDDI シニアエキスパート 高木 悟 氏の 3 名により行われた。各チームからの 10 分程度の作品デモンストレーションと審査員からの質疑応答。審査員からは背景にある徳島の魅力や課題を作品の中でどのように表現しているのかといった質問が寄せられ、参加者は制作の意図や作品への思いを述べていた。

厳正な審査の結果、「Team Real Mean」の「Awaodorizer (アワオドライザー)」が、最優秀賞を受賞した。徳島の「阿波踊り」と「IoT」を結び付けたアクティビティを再現。団扇を振るリズムに合わせて流れるぞめきのテンポが変わる自分だけの鳴り物。この団扇さえあればいつでもそこで阿波踊りを体験できる。最優秀賞の受賞した「Team Real Mean」は 3 月に東京で開催される展示イベントへ招待され、「阿波踊り」の魅力を全国に発信する。

表彰後には、審査員の 吉田 貞伸 氏、佐野 雅彦 氏、高木 悟 氏と、進行 谷岡 広樹 氏から、講評とねぎらいの言葉が贈られた。その後の懇親会で参加者と講師陣、メンターや運営メンバーらと意見交換を行い交流が深められイベントの幕を閉じた。

審査の様子
最優秀賞受賞チーム

参加チームおよび作品概要

Team 1 おへんろさんぽ

作品名:おへんろさんぽ

散歩をしている高齢者が急に倒れたとしても、周囲にいる人に自身が危険であると知らせることができる。加速度センサーとネオピクセルを使用し、体勢が変わることで胸元についているセンサーが感知し、頭に被っている笠の LED とネオピクセルで×や△といった記号を光で表現し LED を光らせる。笠が光ることで夜間でも目立つよう工夫されている。

Team 2 徳島会場 2 班

作品名:阿波踊りアドバイザー

マイクロビットの加速度センサーを使用し、X 軸 Y 軸の測定とリズムにより踊りの採点システムを搭載している。フルカラーの LED ライトを使用することにより得点の結果発表をより派手な演出を行うことを可能とした。阿波踊りと IoT を組み合わせられないかと考え、マイクロビットの加速度センサーを利用した採点システムやフルカラー LED による派手な結果発表など採点化したことによるゲーム性を含むことで工夫されている。

Team 3 徳島会場 3 班

作品名:みちびきお遍路

お遍路さんが道に迷ったまたは正しいコースを外れてしまった際に進むべき方角を示してくれるデバイス。お遍路さんには外国人の方も多く、日本人とのコミュニケ―ションに困る場面があることや、スマホを持っておらず現在地の確認が困難な方がいる背景がある。そこでお遍路さんが困ることなく正しい遍路道へと導くことのできるデバイスとして考えた。お遍路さんが持ち歩くため小型軽量化され低コストで作成できるよう工夫されている。

Team 4 はかまの

作品名:声だけで、注文してみよう

徳島県では労働力不足が問題となっている。特に飲食業界では約 8 割が労働力不足となっている。開発したデバイスは料理を注文する際に、店員が動かずお客さんの声で注文できるシステムになっている。お客さんがマイクに向かい話すと厨房にいる店員のスマートフォン上の LINE アプリに注文内容が届くようになっている。既存のタッチパネル入力方式は多額の費用が発生するが、音声入力方式の場合使用する機材は Raspberry Pi とマイクのみのためチェーン店、小さな個人店でも導入しやすい工夫が行われている。

Team 5 Team Real Mean

作品名:Awaodorizer 【最優秀賞受賞作品】

阿波踊りの魅力の 1 つは終盤にかけての音と踊りのテンポアップである。通常の阿波踊りでは音のテンポに合わせて人間が躍るが、開発したシステムは踊りに合わせ音のテンポが決まる。Raspberry Pi に接続された団扇型ジャイロセンサーにより踊りのテンポを測定し、接続している PC から連動して音が鳴る。PC の画面には BPM などステータスが表示され、BPM が高くなるほど団扇に搭載されている LED の点灯の激しさや点滅速度が変化することで踊りの激しさをより視覚的に伝えることができる。イベント会場などに設置することで、より多くの集客や徳島の文化を広げることができる。

Team 6 なるテック 2019

作品名:おいでやす

徳島のイベントを盛り上げるため、イベントに入場する人数を知りその風景を Web 上で知らせる必要性を考え作成した。Raspberry Pi と ESP-WROOM-02 間で通信した。Wi-Fi Mosquitto (モスキート) を用いて超音波センサーの値を出力している。また 40cm 以内に検知された際に「人が来たよ」と通知し、そうでない場合は計測した数値を表示する。ESP8266 と超音波センサーを使用した人を感知するような仕組みとそれを Raspberry Pi に送信する工夫をしている。

Team 7 チーム神山

作品名:見守りチェアー

この作品は高齢者の方々に向けて作られており、人が実際イスに座っているかどうかを認識する。感圧センサーを用いてアナログ信号を読み取る。そのアナログ信号をプログラム内で取得し既定の 2 カ所が反応すれば、Web ページ上に「座っています。」というコメントが表示され、常時は「座っていません。」というコメントを表示する。

Web×IoT メイカーズチャレンジ 2019-20 in 徳島 開催概要

日程/会場 ハンズオン講習会
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ハッカソン
主催 総務省四国総合通信局
Web×IoT メイカーズチャレンジ 徳島運営委員会
協力 経済産業省四国経済産業局、四国経済連合会、四国情報通信懇談会、徳島県、徳島大学、四国大学、徳島文理大学、阿南工業高等専門学校、穴吹情報公務員カレッジ、公益財団法人徳島経済研究所、特定非営利NPO法人チルドリン徳島、神山メイカースペース、スタンシステム株式会社、株式会社 TIDE、株式会社ダンクソフト、テック情報株式会社
後援 スマート IoT 推進フォーラム、徳島県 IoT 推進ラボ、神山町 IoT 推進ラボ、美波町 IoT 推進ラボ、神山町
運営事務局 テック情報株式会社

報道発表

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